文献詳細
文献概要
特集 外傷の救急処置
胸部外傷の救急処置
著者: 宮本忍1
所属機関: 1日本大学医学部第2外科教室
ページ範囲:P.739 - P.743
文献購入ページに移動はじめに
胸部外傷が四肢,腹部,頭部などの外傷と根本的にちがう点は,胸部には呼吸循環をつかさどる心,肺,大血管などの重要臓器があることである.これらの重要臓器は胸廓によつて保護されてはいるが,強い外力で打撲や圧迫を受け,または鋭利な刃物で刺創を受けると間接または直接の損傷を発生する.たとえば,肋骨骨折は骨損傷としては軽いものであるが,血胸や気胸を発生すると致命的な呼吸循環障害がひきおこされる.これは胸廓という骨性の保護機構がかえつて災いするためである.また心膜内の出血は200ccの少量であつても急激に発生すると.心タンポナーデといわれる状態になり,生命の危険を生ずる.
胸部外傷は便宜上,次の3種類に分けることができる.
胸部外傷が四肢,腹部,頭部などの外傷と根本的にちがう点は,胸部には呼吸循環をつかさどる心,肺,大血管などの重要臓器があることである.これらの重要臓器は胸廓によつて保護されてはいるが,強い外力で打撲や圧迫を受け,または鋭利な刃物で刺創を受けると間接または直接の損傷を発生する.たとえば,肋骨骨折は骨損傷としては軽いものであるが,血胸や気胸を発生すると致命的な呼吸循環障害がひきおこされる.これは胸廓という骨性の保護機構がかえつて災いするためである.また心膜内の出血は200ccの少量であつても急激に発生すると.心タンポナーデといわれる状態になり,生命の危険を生ずる.
胸部外傷は便宜上,次の3種類に分けることができる.
掲載誌情報