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文献詳細

雑誌文献

臨床外科19巻6号

1964年06月発行

文献概要

症例

多発性十二指腸潰瘍の中の1個が穿通して惹起された胆嚢十二指腸瘻形成症例

著者: 対馬甫1 小野不二男1 小野慶一2

所属機関: 1弘前大学医学部松永内科 2弘前大学医学部槇外科

ページ範囲:P.814 - P.819

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はじめに
 胆道が周囲組織特に腸管の一部と癒着し,とくに腸管内腔に穿孔して瘻孔を形成することは古くから知られた事実であり,特発性内胆道瘻として外国文献には数多くの報告例を見る.しかるにかかる瘻孔形成の本邦における報告はX線診断例,手術例および剖検例を合せても未だ25例を数えるに過ぎない.これらの病因の過半数は胆石症を主とした胆道系疾患に求めうるものであつて,一次的に消化管潰瘍が存在し,それが胆道系に穿孔して起つた瘻孔形成症例は,自験例を含めてわずかに5例を数えるに過ぎない.元来十二指腸潰瘍の穿孔自体が,現在においてはまれにしか見られないものであり,山形1)によれば十二指腸潰瘍患者の1.5%であるという.従つて消化管潰瘍に基因する胆道瘻形成例に遭遇することはかなりまれなものと考えねばならない.
 われわれはレ線検査により「十二指腸潰瘍の胆嚢への穿孔による胆嚢瘻」なる診断を下し,手術によつてこれを確かめえた症例を経験したので,ここに報告すると共に収集した本邦における胆嚢消化管瘻の報告例をも合せて本症に関する総括的考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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