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症例
マンニットールの臨床経験
著者: 竹内一夫1 矢作保治1 千ヶ崎裕夫1 相羽正1 水谷弘1 中条泰行1 永津正章1 三井利夫1
所属機関: 1虎ノ門病院脳神経外科
ページ範囲:P.835 - P.841
文献購入ページに移動脳腫瘍や頭部外傷等による脳圧亢進は患者に苦痛を与え,全身状態を悪化し,ひいてはhernia-tionを惹起して生命の危険をもたらす.これらを軽減,防止するために第1表のごとく脳圧を下降調整する種々の方法が行なわれている.手術的に根治または持続的減圧を計る方法は別として,一時的減圧が患者の苦痛を軽減し,さらにはhern-iationを防止しうるのであつて,この方法として脳室または腰椎穿刺により髄液排除および種々の薬物による減圧がある.脳室穿刺は手術的に穿頭術が必要であり,脳室拡大がない時や,脳室の偏移変形がある時は余り適当ではない.また,腰椎穿刺は適応が問題であり時には危険を伴うため,一般に手軽で安全な方法として薬物使用による減圧法が行なわれている,従来使用されている薬物は,50%ブドー糖,Pereston-N(PVP),高張尿素液,ステロイド,利尿剤等であるが,これらは一長一短があり,もつとも容易に,安全に,副作用なく,減圧効果が大きくしかも速かに効く理想的な薬物が望まれるわけである.
著者らは昨年10月初めより,20%mannitonを使用しているが,従来の薬物に比べてはるかに優れた種々の利点があるのを認めた.
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