臨床外科19巻7号

1964年07月発行

グラフ

静脈の外科—静脈移植の場合

著者： 杉江三郎¹ 渡辺正二¹ 村上忠司¹ 田辺達三¹

所属機関： ¹北海道大学医学部第2外科教室

ページ範囲：P.861 - P.865

　静脈移植の問題は外科臨床のなかで，いわばとり残された領域のひとつであり，上大静脈閉塞症候群や，下大静脈あるいは腸骨静脈閉塞などの場合に，静脈移植の必要性は痛感されながら，今日まで適確な方法というものがなかつた．
　最近の文献や，われわれの教室の広範な実験的研究からも材質としては，静脈に関する限り自家，同種，および人工血管ではテフロン（Teflon）がもつともすぐれていることが認められた．吻合法は，器械縫合でも手縫いでも特別の差異はないが，要は内膜の適合に注意をはらい，損傷を防止する慎重な取扱いがもつとも重要な条件であるように思われる．