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文献詳細

雑誌文献

臨床外科19巻7号

1964年07月発行

文献概要

論説

Langerhans島腫瘍について

著者: 清水準也1 小林淳一1 太田隆典1 古田宏1 藤井宏1 榊原宣1 有正修道2

所属機関: 1岡山大学医学部第1外科教室 2岡山大学医学部第1内科教室

ページ範囲:P.877 - P.887

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はじめに
 内分泌臓器の機能亢進または機能低下時における病態の観察を通じて,そのホルモン作用の本質を知ろうとする内分泌学の発展はいちじるしく,外科領域においても内分泌外科学として注目されるようになつてきた.
 膵の内分泌についてLangerhans(1896)の膵島細胞の発見,そしてBanting & BestによるInsulinの発見以来多方面の研究があり,とくに糖尿病の成立にはLangerhans島以外の諸因子の関与があり,糖尿病=Hypoinsulinismと断定しえない場合が少なくなく,糖尿病に関しては糖代謝の研究とあいまつて多くの業績が報告せられている.しかしLangerhans島の器質的変化によるHyperinsulinismは純粋な内因性Insulinの増多に由来する病態と考えられており,糖尿病に比べるとこのような症例がきわめて少ないためもあつて,いまだ十分解明されていない.Langerhans島腫瘍は1902年Nicholls1)が最初に剖検例について,また1927年Wilder2)がはじめて臨床例について報告している.その後1929年Howland3)ははじめて外科的に良性膵Langerhans島腺腫の剔出術を行ない,発作を消失せしめることに成功した.以来本腫瘍が内分泌外科学の面から非常な興味をもつて報告され,現在まで約600例に達したといわれる4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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