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講座 検査と診断
心臓外科領域における臓器機能検査法—診断を中心に
著者: 和田寿郎1 中瀬篤信1
所属機関: 1札幌医科大学胸部外科教室
ページ範囲:P.954 - P.963
文献購入ページに移動はじめに
心臓外科領域の外科の進歩はきわめて厳密な態度でその術前の病型診断を要求するに至つたのはけだし当然である.かつて心雑音を聴取すれば心臓弁膜症と診断し,根治的治療法を持たぬままにその心不全状態の改善のみに意を払うより術のなかつた時代とは異なり,現今のように心疾患に対する外科的療法の適応が拡大されてくると,これら先天性あるいは後天性の心疾患の正確な病型診断と循環動態を把握することが,その手術時期と適応術式を決定する意味において重大となる.だが心臓外科医における循環系疾患に対する診断の進め方といつても一般のそれと変りないが,原因的,解剖的(構造的),機能的の3点からの診断に加えて,その手術適応に関する考察がされなければならない訳である.この意味で心臓外科領域における臓器検査法は重要な役割を占めている.もちろんこれら検査成績は,病歴および一般診察の結果等と綜合的に評価されなければならないのはいうまでもない,以下われわれが心疾患の診断に通常用いている検査法の要項について述べる.
心臓外科領域の外科の進歩はきわめて厳密な態度でその術前の病型診断を要求するに至つたのはけだし当然である.かつて心雑音を聴取すれば心臓弁膜症と診断し,根治的治療法を持たぬままにその心不全状態の改善のみに意を払うより術のなかつた時代とは異なり,現今のように心疾患に対する外科的療法の適応が拡大されてくると,これら先天性あるいは後天性の心疾患の正確な病型診断と循環動態を把握することが,その手術時期と適応術式を決定する意味において重大となる.だが心臓外科医における循環系疾患に対する診断の進め方といつても一般のそれと変りないが,原因的,解剖的(構造的),機能的の3点からの診断に加えて,その手術適応に関する考察がされなければならない訳である.この意味で心臓外科領域における臓器検査法は重要な役割を占めている.もちろんこれら検査成績は,病歴および一般診察の結果等と綜合的に評価されなければならないのはいうまでもない,以下われわれが心疾患の診断に通常用いている検査法の要項について述べる.
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