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特集 小児外科
先天性腸閉塞症の手術
著者: 駿河敬次郎12 角田昭夫2 入江邦夫4 増田元5 福田昭6 戸田智博7 世良好史8 清宮弘毅9 吉野雅武5 登政和3
所属機関: 1東京大学木本外科 2賛育会病院外科 3東大木本外科 4昭和医大第2外科 5東京医歯大第2外科 6東大分院外科 7九大第2外科 8熊大第2外科 9順天堂大第1外科
ページ範囲:P.1028 - P.1034
文献購入ページに移動先天性腸閉塞症は新生児期,緊急手術を必要とする疾患の内ではもつとも頻度の高いものである.1911年Fockens7)が,先天性十二指腸閉鎖症の手術成功例を報告して以来,欧米においても,また,近年小児外科領城が急速に発展している本邦でも本症の手術症例は数多く見られる.しかし,本症の診断治療については,今日なお未解決の問題が多く,したがつて手術成績も諸家の報告により異なり,死亡率35%ないし75%と,かなり高い数字を示している5,12,15,18).もちろん先天性腸閉塞症と呼ばれるもののなかには,いろいろの型がありその治療成績も一率に論ずることはできないが,いずれにしても同様に,新生児時期緊急手術を必要とする.先天性食道閉塞症の手術などが近年,一般に,手術の成績がいちじるしくよくなつているのに比べて,本症の治療はいまだ容易ではないといえよう19).今回,著者らは賛育会病院で昭和28年より昭和39年4月までに取り扱つた先天性腸閉塞症66例につき,とくに小腸閉鎖を中心として,診断,治療,予後の面よりいろいろ検討してみた(第1表).66例中,男子36例,女子30例でOmphalocele,肥厚性幽門狭窄症等の場合と異なり,性別にはあまり差がないようであるが,男子にやや多く見られる.
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