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文献詳細

雑誌文献

臨床外科19巻8号

1964年08月発行

文献概要

講座 外科領域

小児外科における水分電解質の諸問題(その5)

著者: 石田正統1 沢口重徳1 大部芳朗2

所属機関: 1東京大学医学部木本外科教室 2東京大学医学部小児科学教室

ページ範囲:P.1088 - P.1093

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Ⅸ.水素イオン代謝(その2)
2.生体の緩衝系
 生体は水分および各種電解質と同様に一定量のHを含んでいる.しかしながら,正常状態において体液中に遊離の形で存在するHの絶対量は極めて少ない.通常1日に摂取しまた排泄されるHは体表面積1m2の小児においては約2mEq/kgであるのに対して,体液中のHの絶対量は血清PH7.4のとき0.000024mEq/kgにすぎない(第12図).
 かくの如くHの代謝回転は大であり,かつ広範囲に変動するにもかかわらず,生体はH最を極めて狭い生理的範囲内に維持することができる.この恒常性維持の生理的機片は次の2つに大別して考えられる.第1は体液および組織の化学的緩衝系によるHの捕捉であり,第2は呼吸器および腎を介しての排泄である.もとよりHの最終的調節は第2の機序ことに腎性調節によつて完成されるものであるが,その発効にはある程度の時間を要する.この間一時的ながらHを処理するのは第1の機序にほかならない.換言すれば生体の緩衝系はpH維持のための防衛の第一線をなすものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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