文献詳細
特集 脳・頸部・胸部の症例
文献概要
はじめに
頸動脈瘤は1962年,Kinmonth等による500例の動脈瘤中4例(25%)を占め比較的頻度が低いが,その治療法を文献的にみると,1955年以前には内頸動脈,あるいは総頸動脈より発生して居るものには,何れも動脈瘤中枢例の血管結紮が主として試みられていた(Winslow等1962年および1937年,Kirby等1947年).しかしながら動脈瘤以外の症例,たとえど頸動脈球腫瘍を含む頸部悪性腫瘍の摘出にさいして,あるいはまた頭蓋内動脈瘤や動静脈瘻等に対する頸動脈永久結紮の場合でも,脳血流遮断による脳の低酸素状態による合併症として,反対側の偏麻痺あるいは死亡の危険が17〜15%(Nelson)の高きに達して思る.かかる合併症を防ぐ上からも一時的な脳血流遮断に止めて,動脈瘤を切除したあと脳血行路を再建する方法が過去数年の間に2〜3試みられて居るが,症例も少い為一定した術式がまだ確立しておらず,また血管移植例も少ない.著者等は低体温下(口腔温28℃)で内頸動脈瘤を切除後内短絡を用いて脳血流を維持しながらダクロン管(テトロール)移植に成功した症例を経験したので報告し手術方法について述べる.
頸動脈瘤は1962年,Kinmonth等による500例の動脈瘤中4例(25%)を占め比較的頻度が低いが,その治療法を文献的にみると,1955年以前には内頸動脈,あるいは総頸動脈より発生して居るものには,何れも動脈瘤中枢例の血管結紮が主として試みられていた(Winslow等1962年および1937年,Kirby等1947年).しかしながら動脈瘤以外の症例,たとえど頸動脈球腫瘍を含む頸部悪性腫瘍の摘出にさいして,あるいはまた頭蓋内動脈瘤や動静脈瘻等に対する頸動脈永久結紮の場合でも,脳血流遮断による脳の低酸素状態による合併症として,反対側の偏麻痺あるいは死亡の危険が17〜15%(Nelson)の高きに達して思る.かかる合併症を防ぐ上からも一時的な脳血流遮断に止めて,動脈瘤を切除したあと脳血行路を再建する方法が過去数年の間に2〜3試みられて居るが,症例も少い為一定した術式がまだ確立しておらず,また血管移植例も少ない.著者等は低体温下(口腔温28℃)で内頸動脈瘤を切除後内短絡を用いて脳血流を維持しながらダクロン管(テトロール)移植に成功した症例を経験したので報告し手術方法について述べる.
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