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文献詳細

雑誌文献

臨床外科20巻11号

1965年11月発行

文献概要

特集 熱傷の治療

熱傷の治療—特にその診断と局所療法について

著者: 林周一1 奥田徹1 八木義弘1 寺島浩然1 石川洋三1

所属機関: 1順天堂大学第一外科

ページ範囲:P.1497 - P.1505

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 熱傷直後におこる1次ショック,これに続く2次ショックの発生機序,病態生理,処置などに関する研究は,最近10数年間にきわめて活溌に行なわれ,大きな成果をあげてきた.そして重症熱傷の治療におけるショック対策は確立され,早期ショックによる致命率は減少し,早期死は未然に防がれるようになつた.現在では輸液,輸血などの適切,迅速な全身療法の駆使により,80%の重症熱傷すら早期死から救い得るようになつた.
 しかし,この早期死を乗り越えた熱傷患者を,つぎの感染などの問題から完全に庇護する方法はなおしばらくの感が深い.熱傷創面からの持続的な体液の滲出(蛋白の喪失は体表1%当り2.89g/24hといわれている1).これに続発する低蛋白血漿,貧血などにより,全身抵抗力は極度に低下する.このような状態の下では熱傷面の皮膚欠損部から侵入する細菌は強い毒力を発揮するようになる.他の疾患ではあまり病原性をもたないと考えられている緑膿菌などまでかなりの病原性をもつようになり,そのためのSepsisが発生して死にいたる場合が少なくない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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