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文献詳細

雑誌文献

臨床外科20巻11号

1965年11月発行

手術手技

食道瘻の手術手技—気管食道瘻

著者: 葛西森夫1 阿保七三郎1 大波勇1

所属機関: 1東北大学医学部葛西外科教室

ページ範囲:P.1555 - P.1557

文献概要

 食道気管(気管支)瘻の治療に当つて,最も重要なことは,瘻孔部に炎症がある時は根治的手術を行なわないことである.そのため,新鮮な外傷性食道気管(気管支)瘻を除いては,ただちに手術を行なわず,まず局所の炎症消褪をはかる.抗生剤の投与,必要あれば切開,ドレナージを行なうが,その間には,肺合併症の予防と局所の安静をはかる意味で,経口摂食を禁じ,鼻腔を通して栄養管を胃に挿入しこれによつて経管栄養を行ない,唾液もできるだけ嚥下させないようにする.炎症消褪まで非常に長期間を要する時には胃瘻を造設するのがよい.組織欠損のあまり大きくない後天性食道気管(気管支)瘻では,このような処置のみで手術を行なわなくても治癒しうる.経管栄養を行なう場合にはカロリー量と各栄養素のバランスに注意することが肝要で,栄養が悪いと姑息的治療のみで治るべきものが治らず,また手術を行なつた場合にはその成否に影響する.
 陳旧性のもの,あるいは先天性と思われる症例でも局所の炎症の有無を慎重に確かめることが必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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