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文献詳細

雑誌文献

臨床外科20巻12号

1965年12月発行

文献概要

アンケート

イレウスの問題点(2)

著者: 志村秀彦1 植田隆2

所属機関: 1九州大学医学部第1外科教室 2大阪大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1679 - P.1681

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 イレウスは急性腹症の一つとして一刻を争つて処置せられろべき疾患、であり,早急に診断をつける必要がある,イレウスでは以前に開腹,慢性便秘,ヘルニアなどの既往があつた者,あるいは腹腔内に急性慢性の炎症疾患の経過中,急に腹痛嘔吐,排ガス停止が起こつた場合もし腹壁緊張がなく.腸管蠕動不毛穏,腸雑音の亢進が見られればまず機械的イレウスの疑いがおかる.しかし腸管の血行障害を伴ら絞扼性イレウスでは初期のショック症状に引続き早期から腹膜炎症状を伴うので漸次その特徴はうすれて鑑別は困難となる.排ガス停止はイレウスの最大の特徴であるが,時にイレウス経過中少量の排ガスあろいは排便を見ることがありあたかもイレウスの自然緩解のごとき印象を与えるが,これは閉塞下部腸管にたまつた内容が排出されるもので,初期症状の一つである.またイレゥス時の疼痛発作は一定の間隔をもつことが特有であり,下部腸管の閉塞ではその間隔が長く,上部に行く程短かくなる.したがつて腸雑音聴取に当つては腸蠕動音の性質の他に,少なくとも数分間の間,聴診を続けてその間隔を記載する必要がある.しかし機械的イレウスの初期,特に内臓神経が過度に刺戟された場合にはかえつて腸の蠕動が抑制されるし,また疼痛緩和の目的でナルスコ,モピアトなどの鎮痛剤が与えられた場合も同様,腸雑音は聴取できず患者は平静となり症状あるいは病機の進展を見誤ることがあろので注意を要する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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