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下垂体腫瘍について
著者: 半田肇1 深井博志2
所属機関: 1京大脳神経外科 2新潟大学脳研脳神経外科
ページ範囲:P.372 - P.375
文献購入ページに移動近年下垂体腫瘍の照射療法の有効性が強調され,両耳性半盲,およびトルコ鞍拡大を伴なつた定型的な下垂体腫瘍は原則として照射療法を行なうべきであると主張する人も多い.確かに症例によつては著効を呈する例も少なくないが,下垂体腫瘍に対する照射療法の適応,および効果については必ずしも意見の一致をみておらず,下垂体腫瘍に対する治療としては,照射療法,手術療法,ホルモン療法が併用されているのが現状である.われわれは,下垂体腫瘍で視力が正常またはごく軽度にしか浸されていない場合には,まず照射療法を行ない乍ら経過を観察し,その他の例,例えば,1)視野が進行性に狭窄してくる例,2)視力が進行性に低下してくる例,3)視神経萎縮が著明な例,4) diaphragma sellae への浸潤,圧迫による頭痛の著しい例,5)頭蓋内圧亢進を伴なつている例,などではまず手術療法を行なつた後、照射療法を併用している.なお,照射療法を行なう場合にも,手術療法を行なう場合にもホルモン補償療法は十分行なつている.要するに,下垂体腫瘍に対する照射療法,手術療法の選択基準は,神経症状,殊に視神経,視神経交叉の圧迫の程度によるもので,圧迫の著明を思われる例では手術をまず行ない,発育抑制の目的で照射療法を行なつている.
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