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文献詳細

雑誌文献

臨床外科20巻5号

1965年05月発行

文献概要

特集 胸部疾患縫合不全

肺癌手術後における気管支瘻の発生防止対策

著者: 鈴木千賀志1

所属機関: 1東北大学

ページ範囲:P.557 - P.561

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 気管支瘻は,肺切除術における特有的な合併症の一つで,頗る不快かつ重篤な合併症である.肺切除術後における気管支瘻の発生率は,術者の手術手技の功拙に関係することは言うまでもないが,原疾患によつてもかなりの差違があり,たとえば肺結核症や肺化膿症等のような感染症の肺切除術後には発生率が高く,肺癌,その他の非炎症性肺疾患においては比較的低く,われわれの肺切除術例における気管支瘻の発生頻度を疾患別に分けて調査してみると,肺結核症では1,180例中54例(4.6%),また肺化膿症,気管支拡張症,肺嚢胞症では229例中7例(3.1%)に気管支瘻の発生がみられたが,肺癌では142例の切除例中わずか3例(2.1%)に気管支瘻の発生がみられたのみであつた(第1表).
 しかし肺癌患者は,高齢者が多いので,全身抵抗力が減退している上に心肺機能が低下しており.而も肺癌では肺切除量が大きいので主気管支または肺葉気管支のような大きな気管支断端が開口することになるので,ひとたび気管支瘻が発生すると,呼吸障害がはなはだしく、かつ胸腔内に貯つた血性または感染性の滲出液を吸引して,窒息死を惹起する危険すらあるので,肺癌では他疾患の肺切除術におけるよりも気管支断端の閉鎖手技には一層の注意が必要である.われわれは肺癌の肺切除術においても気管支断端の閉鎖法は,もつとも単純なSweet氏法に拠つている(第1,2,3図).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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