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文献詳細

雑誌文献

臨床外科20巻5号

1965年05月発行

文献概要

特集 胸部疾患縫合不全

肺癌手術後にみられる気管支瘻の問題

著者: 香月秀雄1 平田正雄1

所属機関: 1千葉大学医学部肺癌研究所

ページ範囲:P.563 - P.568

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はじめに
 胸部外科が化学療法の開発と病態生理の解明,これにともなう麻酔の進歩によつてその分野を拡大した結果,従来では対象とされなかつたpoor riskにたいしても積極的に手術が行なわれるようになつてきた.肺癌の患者は高齢者の占める頻度が高く,心肺機能はもちろんとして全般的に生理機能の減退を示すものが多く,加えて癌腫にたいする手術として当然その侵襲も大きく術後合併症の発生は決して少なくない.かつ術後の合併症は他の胸部疾患に比べて肺癌の場合は生命の危機に直結する危険が大きく,その処置,予防には万全の策を構じなければならない.
 肺癌の手術は肺切除と広汎な縦隔のリンパ節廓清を行なうのを原則とするが,一般に肺切除術後に見られる気管支断端の縫合不全,すなわら気管支瘻の発生も重要な術後合併症の一つとして取上げられるのも当然である.しかし肺結核の手術の場合これが術後合併症としてもつとも大きな問題の一つとされているのに比べて,肺癌においてはGibbon,Gifford,Wolfgang,石川,篠井,鈴木らによつても報告されているようにその発生率はそれ程高いものではない(第1表).ただしさきに述べたように肺癌の手術では術後合併症のいかなるものでも生命にたいする直接の危険を招来することが多く,とくに気管支瘻にたいする処置が成功する可能性は著るしく低いと云わなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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