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文献詳細

雑誌文献

臨床外科20巻5号

1965年05月発行

文献概要

特集 胸部疾患縫合不全

気管支断端の処理

著者: 宮本忍1

所属機関: 1日本大学医学部第2外科

ページ範囲:P.569 - P.571

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 気管支断端の処理は肺結核,肺癌,肺化膿症など肺切除を要するすべての肺疾患に共通する問題である.その原則は,健康な部位で気管支を切断しその断端を気密air tightに縫合閉鎖し空気漏air leakを発生しないことである.縫合法を大別すれば結節縫合と連続縫合とあり,縫合材料には絹糸,ナイロン糸,木綿糸,腸線,不銹鋼線,クリップなどがある.一般に行なわれているのは絹糸を用いる結節縫合であるが,絹糸の組織反応を嫌つてナイロン糸や腸線を推奨する胸部外科医もある.われわれは肺切除の最初からこの方法を用い特別の不便を感じてはいないが、気管支瘻の治療として行われる断端の再縫含にはナイロン糸や不銹鋼線を用いている.ドイツの胸部外科医が絹糸を用いないのはそれが外国からの輸入品で比較的高価であるからであり,同様のことがアメリカについてもいえる.われわれが絹糸をあらゆる方面の縫合材料として用いるのは国産品で安価なためである.もちろん,絹糸による気管支断端の縫合には異物反応としての組織反応が強いことはわれわれの初期の研究から明らかであつて,今さら再検討の余地はない.したがつて,縫合材料として絹糸がよくないという議論にはわれわれとしてにわかに納得できない面もある.
 肺癌の手術では,気管支の断端が肺葉枝か,主気管支であるが,肺結核や気管支拡張症ではそれが区域枝である場合も多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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