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文献詳細

雑誌文献

臨床外科20巻5号

1965年05月発行

文献概要

他科の知識

医療用リニアツクについて(Ⅰ)

著者: 梅垣洋一郎1

所属機関: 1国立がんセンター

ページ範囲:P.623 - P.625

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 癌の治療が医学の最重要課題となつた現在,放射線治療に対する関心も急速に高まりつつある.癌の放射線治療の発展の歴史をふり返つて見るとヨーロッパ諸国では癌病院が放射線治療を主として発展したという事情もあり,治療設備が充実しており,治療装置の研究も広く行なわれてきた.米国は原子核物理学の研究を終始リードしてきた国であり,したがつて粒子加速器を医療に応用する高エネルギー放射線治療においてもすでに1930年代から研究が始められ,戦前にはかなりの実績を挙げていた.しかし日本では従来この方面の設備が不十分で,戦前には満足な治療施設は癌研附属康楽病院を除いてはほとんどないといつてもよかつた.したがつて放射線治療に対する認識も少く,専門医も少く,十分な成果が挙がらなかつたのは当然であろう.その原因は結局放射線治療の設備が高価でその負担に耐えなかつたということにつきる.最近になりようやく日本も経済事情が好転し,治療装置の開発製作にも急速な進歩が見られたことと相まつて,諸所に放射線治療の設備を充実した癌治療施設を設置する機運が高まつて来ている.
 放射線治療に用いられる装置は大きな機械が1台あれば何でもできるというものではない.治療の対象により適当な装置と方法を選択して用いる必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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