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随筆
それからそれ(その6)—虎の皮の敷物と京都
著者: 青柳安誠
所属機関:
ページ範囲:P.788 - P.789
文献購入ページに移動 私はいま,毎日のように,厚手(あつで)の,その内面にはいつぱい,箸による傷あとのためによごれのついている茶碗で,食事をとつているが,そのふちの一部もちよつぴり欠けているものの,私にとつては,この茶碗はいろいろの想い出にまつわつているので,どうしても棄てさることができずに,すでに20年におよんで愛用しているものである.
というのも,この茶碗は,先代清水六兵衛(後の六和)さんの作であつて,亡父がこよなく愛用していた遺物だからである.おもてには,紺色で蘭が描かれていて,50年を経ておりながら,その色彩はまことに鮮かである.
というのも,この茶碗は,先代清水六兵衛(後の六和)さんの作であつて,亡父がこよなく愛用していた遺物だからである.おもてには,紺色で蘭が描かれていて,50年を経ておりながら,その色彩はまことに鮮かである.
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