特集 術後感染症
複雑骨折と感染
著者:
水町四郎1
鈴木勝巳2
所属機関:
1関東労災病院
2関東労災病院整形外科
ページ範囲:P.871 - P.876
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作用外力が強大になつてくるにともなつて,骨折特に複雑骨折を治療する機会は多くなつて来た.単純骨折の場合には骨折の局所と外界との直接の連絡がないので,正しい整復と適当な固定によつて治癒におもむかせることが出来るが,複雑骨折の場合は外界との直接の連絡があるため,感染を起こす危険が多い.そのために正しい整復,適当な固定以外に感染の防止ということが大切になつてくる.化学療法の進歩は創感染の方面でも大いに進歩をもたらしたが,骨感染のもつ特殊性と耐性菌の発現によつて,複雑骨折の治療は現今においても,むずかしいものの一つと言うことが出来る.わねわれの病院においては新鮮な複雑骨折を取扱う機会も多いが,またすでに感染した症例をもち込まれることも,また多い.すでに感染の症例の治療については,治療法の選択に迷うことが多い.われわれの所に来院した時,すでに感染を起こしていた症例の2,3を検討して見ることにする.