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医療用リニアツクについて(3)—臨床応用
著者: 梅垣洋一郎1
所属機関: 1国立がんセンター
ページ範囲:P.922 - P.923
文献購入ページに移動 前2回は主にリニアツクの構成や機械の特長について述べた.どんな名刀であつても使い方で利器とも兇器ともなるのと同じ様に,リニアツクもその効果は治療する対象や,治療の態度で異つてくる.癌の放射線治療はいわば射撃のようなもので的に当ればよく治るし,当らなければ治らない.きわめて当り前のことである.けれども狩猟と違うのは癌の治療は要するに銀座の雑踏の中で賊を迫つかけるようなものでまわりにいる癌でない細胞にも弾丸が当る危険が大きい.広い範囲に弾丸が散らばる霰弾のような治療では話にならない.リニアックの治療が従来の治療よりも優れているとすれば,射撃の精度がよくなつてよりよく当るようになつたからであろう.けれども一番大切なことは標的をはつきりと見定めることにある.つまり癌の占居している部位を診断することである.現在放射線治療がよい成績を挙げているのは診断の精度と治療の精度がよく合つている場合である.頭頸部や子宮等の癌がそれである.しかし胸腹部の癌ではなかなか診断がむづかしくて精度が悪く機械の精度につりあつておらず,したがつて成績もなかなか挙らないわけである.
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