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特集 癌手術例の検討
脳腫瘍5年生存例の検討
著者: 佐野圭司1 桑原武夫1 関野宏明1 真柳佳昭1
所属機関: 1東京大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.1007 - P.1017
文献購入ページに移動表題に忠実に従うとすれば,5年生存例がどの位の比率で存在するか,この生存例が如何なる性質の腫瘍で,それが如何なる部位に生じたものであつたか,またそれに対して如何なる手術あるいは治療が行なわれたのであるか,さらにかかる長期生存例が如何なる健康状態で生存しているか等の順に記述せねばなるまい.例えば,胃癌とか甲状腺癌等についてはかかる記述が適当であろうかと思われる.しかしながら,脳腫瘍には大ざっぱに分けても約30種類があり,それぞれが異なつた悪性度を有しており,しかもこれらが頭蓋内のほとんどあらゆる場所に発生し,その手術法もさまざまである.したがつて,上記のごとき記述法によればいたずらに混乱をきたすおそれもある.ここでは,まず脳腫瘍全般にわたり,手術死亡率,5年生存率および生存者の現況等のあらましを述べ,ついで主要な各脳腫瘍のそれぞれについて,その特長ないし性質を簡単に述べ,手術死亡率,術後生存曲線および生存者の現況等を明らかにし,あわせて最近の手術成績の向上について触れたいと思う,
今日まで,脳腫瘍の手術成績は,大小さまざまのスケールで,脳腫瘍全般にわたりあるいは個々の脳腫瘍について種々諸家により報告されてきているが,まだその数は多くはないようである.
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