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特集 癌手術例の検討
肺癌の根治手術について
著者: 河合直次1
所属機関: 1千葉大学肺癌研究所
ページ範囲:P.1025 - P.1027
文献購入ページに移動 肺癌の5年生存例の検討についての依頼であるが,肺癌の根治手術の問題に限つてわたくしの今までの経験と,これからへの希望などについて述べることとする.
わたくしが外科の教室に入つた大正の終り頃には,癌手術の遠隔成績を表わすのに3年生存率をとるか.5年生存率とするかはまだ決つていなかつた.この時代には,胸壁手術のさいにあやまつて胸腔を開くと死ぬといましめられていた頃である.胃癌の手術は行なわれていたが,吻合が主で切除はごく稀である.それも全例教授の執刀で,医局にはまわつてこない.しかも切除例は死亡することが多かつた.こういう時代であるから遠隔成績の生存率を何年とするかについて論議されていたことは当然といえよう.しかし,現在一般に使われている5年生存率にもなお検討の余地が残されていることには間違いない.術後5年以上を経過したものに再発を見ることが少なくないことは誰も経験していることであろう.
わたくしが外科の教室に入つた大正の終り頃には,癌手術の遠隔成績を表わすのに3年生存率をとるか.5年生存率とするかはまだ決つていなかつた.この時代には,胸壁手術のさいにあやまつて胸腔を開くと死ぬといましめられていた頃である.胃癌の手術は行なわれていたが,吻合が主で切除はごく稀である.それも全例教授の執刀で,医局にはまわつてこない.しかも切除例は死亡することが多かつた.こういう時代であるから遠隔成績の生存率を何年とするかについて論議されていたことは当然といえよう.しかし,現在一般に使われている5年生存率にもなお検討の余地が残されていることには間違いない.術後5年以上を経過したものに再発を見ることが少なくないことは誰も経験していることであろう.
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