特集 腹部外科の臨床
研究と報告
術後消化性潰瘍の4例について
著者:
間野清志1
広瀬周平1
延藤栄男1
清藤敬1
所属機関:
1岡山済生会総合病院外科
ページ範囲:P.1250 - P.1253
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胃切除後の重要な合併症としての術後消化性潰瘍は,1899年Braunにより報告されてより今日まで,諸家により多数例が報告され,原因予防について種々検討されて来た.術後消化性潰瘍は空腸に発生することが最も多いといわれているが,術式による発生頻度については,諸家によりかなりの差があり,必ずしも一定した傾向は認められない.一般にBillroth I法の方がII法よりも術後消化性潰瘍を発生することが少なく,またBillroth II法においては,結腸後吻合の方が前吻合よりも発生が少ないようである,胃切除全体に対する発生頻度も報告者によりまちまちであるが,われわれの病院では昭和33年より本年1月までに,胃切除後,胃十二指腸吻合または胃空腸吻合を行なつた781例に対し,術後消化性潰瘍発生は3例で発生率は約0.4%である.他の1例は他の病院で胃切除術を受けた後,術後消化性潰瘍を発生し,われわれの病院で再手術を行なつたものである.