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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻1号

1966年01月発行

文献概要

特集 癌の補助療法・1

脳腫瘍の補助療法

著者: 佐野圭司1 佐藤修 早川勲

所属機関: 1東京大学脳神経外科学教室

ページ範囲:P.37 - P.46

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はじめに
 脳腫瘍の理想的治療は,手術的に腫瘍を全剔することであるが,腫瘍の発育の状態により,あるいは,その発育する場所により,全剔の困難な場合があり,そのような脳腫瘍に対しては,手術に併用して何らかの補助療法が必要となつてくる.このような補助療法の必要な脳腫瘍は,瀰漫性に発育する,病理組織学的には悪性の腫瘍が大部分で,Glioma,転移性癌,原発性肉腫等に大別される.これらが,脳腫瘍内で占める頻度は40),39.4%(Glioma 35.8%,転移性癌2.6%,原発性肉腫1.0%)と,きわめて高いことは,脳神経外科医にとつて,常に重大な問題である.これらの悪性脳腫瘍に対する手術方法は,一般に腫瘍の部分的,あるいは,試験的切除にとどめ,さらに減圧開頭術,Torkildsen手術,脳室心房短絡術等により頭蓋内圧の降下をはかり,その後に補助療法を行なうのが通例である.また,病理組織学的に良性腫瘍の中でも補助療法が必要なことがある.たとえば脳下垂体腺腫は,被膜内腫瘍剔出術が定石であるが,これのみでは,再発率が大であるので,術後放射線療法を併用して好成績をあげている.この場合も補助療法の対象となつていることになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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