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論説
長時間手術の消毒について
著者: 古田昭一1 清水喜八郎2
所属機関: 1東京大学中央手術部 2東京大学中央検査部
ページ範囲:P.55 - P.59
文献購入ページに移動外科手術の今日の発達は手術々式の工夫創意によることはもちろんであるが,消毒法,麻酔,抗生物質等の発達と全くその軌を一にしていることは疑いない事実である.複雑な外科手術は従来考えもおよばなかつた,長時間手術という型になつて現われてきた.
第1表は昭和36年4月より昭和39年8月まで東大中央手術部で行なわれた.手術時間8時間以上の症例である.26例中11例までが動脈の再建手術で7例が代用血管を使用している.長時間手術には患者の術中管理,手術者,介助者の疲労等の問題等色々生じてくるが,さらに基本的な問題として,長くて3〜4時間の手術を目標に一応安全性が確認されている従来の手術者,手術介助の看護婦の手,指の消毒法,患者の手術野の消毒法も再検討がなされなければならない,特に長時間に亘る手術では患者の全身状態は短時間のものに比較すると当然悪く,手術時間と術後感染症との間に密な相関があるという報告もある程である1).われわれの症例の多くが代用血管その他の異物を使用し,治療効果を期待する手術が多く,術後感染は決定的な失敗を意味し,移植の技術面の優秀性だけではその成功は期し難いのである.
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