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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻10号

1966年10月発行

グラフ

末梢動脈閉塞症

著者: 三島好雄1 太田武史1

所属機関: 1東京大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1333 - P.1337

文献概要

 四肢の主幹動脈にいろいろの原因で閉塞がおこるとその末梢に2次的にいろいろの程度の阻血症状が発生する.教室で経験した650例の末梢動脈の閉塞性疾患のうち急性閉塞例は約60例で10%にあたり,残りは慢性に経過するものであつて,その原因としては血栓血管炎と動脈硬化症および臨床上特徴に乏しい慢性閉塞症の3者がそれぞれ約1/3ずつをしめ,前者はとくに青壮年男子の下肢に好発し,再発を繰返す傾向にある.
 この状態は欧米のそれとかなり異なるものであつて,欧米では動脈硬化性の病変が多くて血管手術の好適応となるのに対して,本邦では動脈硬化症が少なく,したがつて血管手術の適応も少ないようである.しかし教室の症例を1960年を境として前後の2期に分けてみると,前半では血栓血管炎が圧倒的に多くみられたが,後半では動脈硬化症の頻度がまし,とくに近年動脈硬化性の末梢動脈閉塞がいちじるしく増加してきた.恐らく今後動脈硬化性病変増加と血栓血管炎型病変減少の傾向はますます著明になるものと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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