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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻10号

1966年10月発行

文献概要

雑感

音があるか?

著者: 羽生順一

所属機関:

ページ範囲:P.1403 - P.1403

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 内科医にとつて腹痛という訴えは苦手の一つです,というのはその次にすぐ外科的処置が必要かどうかと云うことがひかえているからに他ならないのです.内科的処置で可能か,あるいは速かに外科的処置に移すかの決断をせまられます.赤恥をかかない為には慎重ならざるを得ません.時間外特に深夜になるとむしろ来た患者がうらめしくなることさえあります.
 若い青年が矢張り上腹部痛を訴えて来ました.重い物を持ち上げたさい,何か「プッン」といつて切れた様な感じがして,急に痛くなつたと訴える.型のごとく上腹部を触診すると,特にデフアンスはなく,圧痛点もない.すでにその青年とは熟知の間でしたが,特に胃腸障害もなかつた.然し痛みが激しいので,しばらく経過を見様とのことで,一応鎮痛剤を注射して見ました.三十分,一時間位たつても痛みは去らないばかりか,上腹部の膨満感を訴え,実際に軽度に膨満し,打診断有響音を示す状態となります.潰瘍の穿孔?それにしても既往症もないのに等と考えつつも,兎に角外科に転医,手術と有なつた次第です.矢張り十二指腸潰瘍の小穿孔が認められました.風船玉ではあるまいし,音をたてて破れたのかあるいは本人がそう感じたのか,穿孔したのは事実でした.もう一人はお嬢さんで,高校の体育の時間,跳躍をしたとたん,ぷつんという音がして,胸がしめつけられるように痛んだ,その後心なしか何んとなく息苦しく感じたという.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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