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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻12号

1966年12月発行

文献概要

外科の焦点

Zollinger-Ellison症候群

著者: 田中早苗1 朝倉晃1 田井千秋1

所属機関: 1岡山大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1639 - P.1644

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Zollinger-Ellison症候群について
 ある種の内分泌疾患が消化器症状を伴うことは周知の通りであり,またいろいろな内分泌腺の刺激によつて胃液の分泌や運動などが影響をうけることも明らかなことである1)18)20)22).なかでも副甲状腺,副腎,膵ラ氏島が胃液の分泌機能と深いつながりを持つていることは古くから考えられていた.1903年に濃厚な家族歴を持つ多発性内分泌腺腫の1例が報告されているが,1953年にはWermer21)がこの多発性内分泌腺腫(multipleendocrine adenopathy:M.E.A.)と消化性潰瘍の関連性を指摘し,特によく合併する内分泌臓器として,副甲状腺,副腎を挙げ,その濃厚な家族歴からみて遺伝性因子によるものであると主張している,1955年になつて,Zollinger, Ellison25)が特に消化性潰瘍にしばしば合併してみられる膵ラ氏腺腫を,その潰瘍の直接の成因であると考え,1つの独立した疾患単位としてZollinger-Ellison症候群の名のもとに発表した.そして今日外科の立場からは膵ラ氏島機能充進症として,むしろInsu—linomaよりも,この電撃性消化性潰瘍をもたらす本症の方に,より多くの関心が集まつている状態である4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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