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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻12号

1966年12月発行

特集 虫垂炎—その困難な問題点

虫垂間膜にまで高度の炎症のある場合の処置はどうすべきか

著者: 中島佐一1 奥村太郎1

所属機関: 1奈良県立医科大学第1外科

ページ範囲:P.1672 - P.1674

文献概要

はじめに
 急性虫垂炎はその診断が確定した場合には早期手術を行なうことが,もつとも安全適切な処置であることはいうまでもない.最近では早期手術の普及と手術手技の進歩向上,さらに化学療法の発達とによつて軽症例が多くなり,典型的な急性化膿性虫垂炎は減少して重篤な合併症もまれにしか見られないようになつた.しかしいわゆるカタル性炎が切除虫垂炎のほぼ半数を占める反面,かかる軽症例には術後の愁訴,あるいは後遺症といわれるものが多く,そのために再手術を余儀なくされる症例は必ずしも少なくない.また,一方においては手術時の不注意な操作や,不適当な手術が原因となつておこる合併症も皆無ではなく,不適確な化学療法によつてその十分な効果が期待できず,治癒の遷延を見る場合もある.
 したがつて安易な診断による無用の手術をさけると共に,的確な手術手技と術前後の管理とによつて不愉快な合併症,あるいは後遺症をさけなければならない.特に老人や小児の場合には,初期の症状が不明確で病像も異なるため,しばしば早期手術の時期を失い,予期しない合併症に遭遇することもまれではない.このため診断と手術手技,および術前後の管理には特に慎重でなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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