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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻2号

1966年02月発行

文献概要

外科の焦点

老人外科の問題

著者: 田中大平1 赤沢章嘉1 上野武男1 田村清孝1 永津正章1 大橋正世1 牧野資実1 篠崎淳彦1 荒木駿二1 水野登夫1 四宮義也1 田沢三郎1 山田忠義1 正務秀彦1 平賀義雄1 竹内靖司1 寺田和彦1 朴順京1

所属機関: 1東京大学

ページ範囲:P.155 - P.162

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 老年医学の一環として老人外科の問題が近年close upされてきたことは,60歳以上の患者の手術数が全手術数の10%以上となり,その一人一人について若年者と違つた慎重な注意を要することに由来するのであろう.実際,老人の手術死亡率は若年者の数倍に達しており,死亡しない迄も治癒が遅れ,あるいは合併症を発して社会復帰が困難となるものもかなり存在する.そしてこのような手術の予後を反映してか,今日なお,老人の手術率はその発病率に比してかなり低いといわねばならないのであつて,ただ老人という理由のみで手術されない患者も多いと思われる.したがつて,老人外科の問題点は手術の安全性を確保することと,従来は手術をためらつたものにまで安全に手術適応を拡大するというところに最も重要な課題が存在する.しかし,実際に老人患者をとり扱うと,老年の疾患は,その頻度,種類,性質,症状,経過などに特徴をもち,また,術前の身体的,精神的,社会的状態が若年者とかなり異なる場合があつて,これらは一方において当然手術の安全性と連なりながら,他方において独立した面をもつているので,これらも当然それぞれに老人外科の問題点となると思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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