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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻2号

1966年02月発行

アンケート

胃手術後の早期出血はどう処置していますか

著者: 田中早苗1

所属機関: 1岡山大学医学部第1外科

ページ範囲:P.230 - P.231

文献概要

 胃手術後の早期出血に対する処置は,出血の原因によつて異なるものであり一様ではないが,日常遭遇するものは殆んどが縫合部からの出血であろうと思う.これは当然術者の一寸した注意によつて防止しうるものであり,そうした注意を特にはらうようになつた最近の2年余りでは,1例もそうした不快な症状に遭遇したことはない.すなわち,後壁全層縫合をおこなつたのち,一応腸鉗子をはずして,すこしでも出血してくるところがあれば結節縫合を追加することによつて確実に止血をおこない.またそのとき胃の中を覗いてみて,クリップをかけて埋没してある部からも出血はないかということを確かめてみるのである.大抵の場合後壁に2,3針の追加結節縫合をおこなうことになる.こうした処置をすることによつて手術時間は2〜3分ほど延長されるが,それまでは1年間に1〜2例あつた術後のきわめて不快な胃出血を完全に防止し得ているので,それだけの努力を払う価値は十分にあると思つている.何事においても予防は最良の治療のはずである.
 さて,出血にたいする処置であるが,出血といつても術後のことであるから,胃潰瘍からの突然の出血の時にみられるようなショック状態に陥るまで放置されているようなことはなく,胃カテーテルからの出血あるいは血圧の低下などによつて早い時期にそれと診断がつけられ,輸血,輸液,酸素吸入および各種の止血剤投与などの処置がとられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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