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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻2号

1966年02月発行

文献概要

他科の意見

循環器疾患について外科への希望(2)

著者: 斎藤十六1 木川田隆一1

所属機関: 1千葉大学医学部第2内科

ページ範囲:P.260 - P.262

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Ⅲ.歯口科・耳鼻咽喉科方面の麻酔について
 虚血性心疾患をもつヒトが,抜歯するとき,局麻薬に注意すべきことを専門の同僚から学んだ14).局麻薬のなかには,たいてい,アドレナリンがはいつている.それゆえ,多量を使えば,血圧はあがり,狭心痛がおこることもある.不注意にも,溶液が,たくさん脈管内にはいると,この危険は,かなり大きい.かような場合,内科がわでは,アドレナリンのような血管収縮薬をふくまない局麻薬を使つてほしいと思うことがある.しかし,外科がわの専門家は,脈管収縮の作用をもたない局麻薬などのうちには,満足すべきものが,ほとんどないことを知つている!Chamberlainは15),虚血性心疾患をもつヒトにも,1:50,000のわりでアドレナリン類を入れた2%のプロカインを,1ヵ所につき10mlまで使うことは,まず,危険がないといつている.アドレナリン類なしのプロカインを使えば,血管は拡張し,害作用を起こすに十分なほど,血行中に急にはいることもありえよう.不適当な麻酔によつて痛みがはげしければ,患者自身のアドレナリンが分泌される.こうして,患者は,プロカインとともにあたえられるよりも多いアドレナリン量の作用をうけることにもなる.lignocaine (lidocaine,xylocaine)類は,プロカインほどの血管拡張をおこさないが,それでも,1:100,000のわりあいでアドレナリンを加えることがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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