icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻3号

1966年03月発行

文献概要

アンケート

骨折の救急処置(私の処置法)

著者: 諸富武文1 木村元吉2

所属機関: 1京都府立医科大学整形外科 2東北労災病院整形外科

ページ範囲:P.363 - P.367

文献購入ページに移動
 外傷による新鮮骨折患者が救急室に運ばれて来た場合はまず迅速かつ適確に診察して患者の状態を把握するように努めることが第1である.意識の状態,瞳孔反射.皮膚粘膜の蒼白化の有無,脈搏,呼吸,血圧,精神状態等の全身の一般状態の観察から始めらるべきで,いたずらに局所の所見のみにとらわれることは避けねばならない.われわれの所に運ばれる救急患者の中には生命をおびやかす程度のショック状態をみることは比較的稀であるのは幸いであるが,骨折時には多かれ少なかれ全身性反応があり,激烈な疼痛,機能障害等から受傷直後精神的ないわゆる1次性ショックの状態を来たしやすい状態にあり,この状態は臨床的に顔貌無感覚,顔面蒼白.冷汗,浅い呼吸,血圧下,脈搏頻少という症状を呈する.このさいの処置は一般に薬剤による疼痛の除去,安静,保温,精神安定剤の投与等により数時間で消退することが多い.以上の場合は末梢血管が拡張するのみで循環血液量に著変は無いが,外傷後30分ないし11時間の問に血液循環最の減少を来たしていわゆる2次性ショックを起こす場合がある.これは多発性骨折や高度の副損傷の存在する場合,特に出血が多量の時にしばしば見られるもので,この場合適切な処置をとらないと虚脱状態となり死の転帰をとる可能性がある.かかる場合は骨折の救急処置中最も危険かつ重大な時期であり,万全を期さねばならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?