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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻3号

1966年03月発行

トピックス

弁膜の外科

著者: 工藤武彦1

所属機関: 1東京医科大学外科

ページ範囲:P.378 - P.379

文献概要

 弁膜疾患は全心臓疾患のほぼ40%を占める重要な心疾患の一つであるが,この中で僧帽弁は約60%と最も多い.ついで大動脈弁疾患(20%),両者の合併10%となつている.三尖弁疾患は剖検上はかなり頻度の高いものとされるが,臨床的には僧帽弁疾患などに合併しているため,二次的な相対的閉鎖不全症もかなりあるものと考えられる.肺動脈弁疾患では肺動脈弁狭窄症が臨床的に重要であるが,これは先天的な疾患であり,チアノーゼを呈することから別な範鋳に属するのでここでは省略する.いずれにせよ,「弁膜症」は古くから知られ,また最もpopularな疾患であるに拘らず,その治療においては未解決な点が多い.
 これら弁膜症の外科的治療の歴史は相当に古く,1925年に今なおロンドンで健在なSouttarが生体の心臓内に指を入れて僧帽弁を探知したのに端を発し,わずかに遅れて,ハーバード大学のCutlerらが最初の僧帽弁狭窄の裂開の経験を発表した.しかし,7例のうち6例は死亡し,7例目は全く改善されなかつた.僧帽弁狭窄症に対する最初の手術成功例は1948年,Harkenらによつてもたらされ,はからずもこれが心内手術成功の最初の例ともなつたことは衆知のことである.翌年に,Baileyらも彼らの症例について報告したが,Commissurotomyの名称と共に本法の術式を確立した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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