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特集 胃手術後の困難症
胃手術と癒着障害
著者: 高山坦三1 野崎成典1 長沢大晴1
所属機関: 1札幌医科大学第1外科
ページ範囲:P.451 - P.458
文献購入ページに移動胃切除後,食餌摂取に関連して不快な症状のおこることがあることは古くから注目されているところであるが,医学の各分野の発展にともない,胃切除術が安全に広くおこなわれるようになつてきた今日においては,ときには術前の愁訴より以土の苦悩ともなりうるこれらの後遺症状の予防ならびに治療は,外科医にとつてまたひとつの重要な課題である.胃は消化管のなかでは複雑な機能を有し,原因疾患の種類,周囲組織・器官との関係,切除部位および切除範囲,胃・腸吻合の術式等は症例によつてそれぞれ異なるから,ひとくちに胃切除後の障害といつてもきわめて多種多様のものがあるわけである(第1表).
術後癒着障害は,Bollerの分類においては特にとりあげてはいないが,しかし他の腹膣内手術後におけると同様,胃・十二指腸手術(以下胃手術と略)後においても癒着による障害が好ましからぬ後遺症のひとつとして患者を苦しめているのが現状である.もともと腹膜には分泌,吸収機能のほかに,細胞を新生し,それらの細胞は原位置において組織を構成し,第1期癒合をいとなむという形成機能Plasticityがある.
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