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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻4号

1966年04月発行

文献概要

外国雑誌より

冷凍血液その理論と実際

著者: 豊田忠之1

所属機関: 1東京大学第2外科

ページ範囲:P.533 - P.533

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 Polgeらは1949年,鶏の精子にグリセリンを加えて冷却すると凍結下でも死滅を免かれるということを発見し,ついでSmithは人赤血球に対してもグリセリンが同様な保護作用を示すことを発表した.その後,ヂメチルスルフォキサイド(DMSO)やプロピレングリコールにもこのような作用があることが分り,これらの物質はECA (Endocellular Cryo-phylactic Agent)と総称されている.これらのECAは細胞内水分と強い水素結合や共有結合を作ることができるので,凍結状態においても細胞内水分が氷となつて一カ所に集まることを防ぎ,ひいては溶質の濃縮を抑えることができる,これが低温下の細胞保護機構である.こうして−85℃に保存した冷凍血液を加温融解して輸血するには,ECAを除去しなければならない.著者はその方法について新しい装置を考案した.正常pH城では血漿中γ—グロブリンと赤血球ははなれて存在するが,pH5.2〜6.1の領域ではγ—グロブリンと赤血球壁リポプロテインとが可逆的な結合体を形成する.ついでメデイウムのイオン強度が下るとグロブリンが赤血球をつけたまま沈でんする.再分散させるには電解質液を加えてグロブリン相互間結合を切るか,pHを上げてグロブリンーリポプロテイン結合を切つてやればよい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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