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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻5号

1966年05月発行

トピックス

肺と神経

著者: 平田正雄1 嶋田晃一郎1

所属機関: 1千葉大学医学部肺癌研究所

ページ範囲:P.675 - P.675

文献概要

 肺移植の研究が進むにつれて,神経遮断(Denervation)ということが大きな問題となつてきている.臓器移植のなかでも腎移植ではDenervationはあまり問題にされていないが,肺ではHering-Breuer反射の消失により気管支分泌物の潴溜や排出障害を招き,必然的に各種の肺合併症の発生,さらに機能不全に進展するものとされている.肺のDenervationには多くの研究報告があり,Hawardは部分的なDenervationでは呼吸数とその大きさを変えることはあつても呼吸麻痺はつくらない.しかし全肺の完全なDenervationでは常に1次性の呼吸麻痺を起こして死亡するといつている.しかし一方Faberのように横隔膜神経が保存されている限りdenervateされた肺にも呼吸が出現するといつている人もある.Hardy,Faber,Rech等はdenervateされた肺における肺浮腫の発生について注目し肺動脈圧の上昇,肺換気機能の低下を指摘している.これらの報告に見られるように,Denervationの肺への影響は非常に大きく,肺移植にさいして重要な問題であることに異論はないように考える.
 ところで,肺の支配神経に関する研究は古くから行なわれ,本邦でも沖中,瀬戸,瀧野らの業績があり,肺の神経には求心性と遠心性の両者があり,迷走神経も交感神経もともに両性をもつているとされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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