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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻7号

1966年07月発行

文献概要

他科の知識

内分泌疾患の内科的治療(3)

著者: 鳥飼龍生1

所属機関: 1東北大学医学部内科

ページ範囲:P.949 - P.953

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Ⅲ.甲状腺疾患(つづき)
 3.単純性甲状腺腫,橋本氏病および甲状腺癌
 甲状腺疾患のうち甲状腺腫が主症状をなし,甲状腺機能亢進を伴なわないものには,嚢腫,腺腫(adenoma),既述の亜急性甲状腺炎など種々あるが,主なものは単純性甲状腺腫,橋本氏病および甲状腺癌の3者である.これらの疾患は相互の鑑別診断に臨床上の問題があるのであつて,確診がついてしまえばその後の治療には,あまり問題はないはずである,すなわら,嚢腫,腺腫(adenoma),癌では外科的治療が行なわれ,橋本氏病では甲状腺剤による薬物療法が行なわれる.単純性甲状腺腫も圧迫症状を呈するほど大きなもの,あるいは結節が大きなものでは外科的治療を行なうが,その他のものでは一応甲状腺剤の投与を試みる.
 ところが甲状腺腫がある場合に,これらの疾患のどれであるかを臨床的に診断することが困難な場合が少なくない.重きに従つて処置するという原則に従えば,すべて甲状腺癌と考えて甲状腺腫の摘出を行なうことになるが,甲状腺腫の中で実際に甲状腺癌の占める頻度がかなり低いので,全例を手術するという方針は決して実際的ではない.ただしこの頻度については,諸家により高低種々の値が出されていることは周知の通りである.この事実はすなわち,このような統計を出している人も実際にはすべての甲状腺腫を手術しているのではなく,手術に当つてある程度の症例選択を行なつていることを示している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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