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耳鼻咽喉科から外科への希望
著者: 後藤敏郎1
所属機関: 1長崎大学医学部耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.963 - P.965
文献購入ページに移動 耳鼻咽喉科の手術は耳や鼻,扁桃腺や喉頭などの特殊な器官の手術として発達してきた.その限りにおいては一般外科との関係はきわめて薄く,参考に供することも,特に希望する問題も見当らない.最近もこのような耳や鼻などの器官内の手術はその内部においていちじるしい変り方をして来ているが,そのことは一般外科の方々には関係の薄いことである.いま,これを耳鼻科手術の内的変化と仮定してみると,外科の方々へ希望というよりは理解して頂きたいのは,外的,あるいは外方への変り方である.耳鼻咽喉科の手術は,耳の手術に見られるように、現在は顕微鏡下のmicro-surgeryの方向へ進んでいるが,一方では反対に顔面や頸部への手術野の拡大が進められている.耳鼻科では手術はかつては鼻腔や咽頭,喉頭などの内腔からの手術に限られていて,その外表部からの手術となると一般外科に委ねるといつた状態が長い間続いていた.現在では,そのように,手術上のapproachを外科と分つて考えることはこれらの部位の手術では不合理であると感ぜられるようになつてきた,その結果,顔面頭蓋や頸部の手術は,その内側の器官や管腔を含んで,耳鼻科的な技法や解釈で内外から行なわれる機会が多くなつてきた.その意味から,耳鼻咽喉科の手術は,従来は感覚器官の特殊な外科であつたものから,区域の外科に変遷してきているように思われる.
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