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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻8号

1966年08月発行

特集 腫瘍の外科

研究と報告

Insulomaの1手術例

著者: 本山登1 阿部富男1 金井弘1 湧井智一郎1

所属機関: 1新潟大学医学部外科教室第1講座

ページ範囲:P.1084 - P.1088

文献概要

はじめに
 Langerhansが膵にLangerhans氏島を発見したのは1869年であるが,1902年にいたりNichollus1)が剖検例でラ氏島腫瘍を発見した.1922年Banting & BestによるInsulinの発見いらい,ラ氏島の機能が解明され始め,Insulinとラ氏島腫瘍の関係に気づかれ,1926年Warren2)らはラ氏島腫瘍と過Insulin症との関連を初めて実証した.1927年Wilder3)は臨床的に本腫瘍を初めて報告し,意識消失と痙攣発作を頻発する例の剖検で,ラ氏島癌を発見した,1929年Howlandら4)は初めて外科的にラ氏島腫瘍の剔出を行ない,発作を消失せしめ本症の治癒に成功した.いらい本症の報告は漸次増加し,1950年Howardら5)は文献上398例のラ氏島腫瘍を集め詳細に検討を行なつた.1960年Hanson6)によれば報告例は600例をこえるという.これらラ氏島腫瘍の中にはInsulin分泌を伴なわず低血糖症状を伴なわないものも含んでいる.
 ラ氏島腫瘍には,おもにβ細胞からなりInsulin分泌するfunctioning tumorと,おもにα細胞からなりInsulinを分泌しないnon-functioning tumorとがあり,β細胞からなるものだけが特異な低血糖症状を呈するのであつて,organic hyperinsulinismはおもに良性のラ氏島腫瘍にみられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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