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文献詳細

雑誌文献

臨床外科21巻9号

1966年09月発行

文献概要

論説

脳外科術後過高熱に対する副腎皮質ステロイドの影響

著者: 斎藤義一1

所属機関: 1鳥取大学医学部桑原外科

ページ範囲:P.1215 - P.1220

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はじめに
 中枢神経障害により39〜40℃以上の体温上昇と同時に意識障害を伴う場合,これを中枢性過高熱と称するが,中枢障害以外にも全身性水分脱失,各種臓器の機能障害をきたし生命維持の危険信号ともなる.かかる状態は脳外科手術後に過高熱posroperarive hyperthyemiaとしてしばしば経験され原因の究明,治療など討義されてきた.元来第3脳室,視床下部腫瘍などに体温調節が障害され(Strauss et al.3))これら疾患の術後に過高熱をきたすことが知られるが,一般に脳外科手術で脳底に侵襲のおよびやすいときに発現しやすく,第3脳室,視床下部以外にも前頭葉底,下垂体およびその近傍,松果体腫瘍などが代表としてあげられる.
 術後過高熱をきたす場合,通常術後脳浮腫の発生を考え,脳浮腫発生は過高熱の重要な因子といえる.近年脳浮腫防止に副腎皮質ステロイドの利用が注目され脳手術後や,急性頭部外傷例に用いられ,有効視されている.過高熱の原因,脳浮腫や視床下部損傷との関係の細部に関してはなお未解決の点も多いが,一方において臨床的見地から術後過高熱などの防止対策は急を要し,前記副腎皮質ステロイドの利用が普及しつつある.その使用経験は種々報じられるが,使用最の検討は十分といえず,困難であるが重要な問題である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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