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文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻1号

1967年01月発行

文献概要

特集 鼠径・陰嚢ヘルニアの問題点

鼡径ヘルニア内容腸管の癒着している場合の処置はどうすべきか

著者: 村上治朗1

所属機関: 1寿康会村上病院

ページ範囲:P.20 - P.24

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はじめに
 鼠径ヘルニア内容腸管が癒着して,根治手術に困難を感ずる症例はそんなに多いものではない.私自身が最近15年間に根治手術した鼠径ヘルニアは3927例で,そのうち,嵌頓症例は321例である.性別では男3170例(うち,嵌頓220例),女757例(うち,嵌頓86例)であり,右側2315例(うち,嵌頓243例),左側1071例(うち,嵌頓61例)で両側541例(うち,嵌頓17例)であつた.この中には腸管の一部がヘルニア嚢の一部に単純な索状癒着をしていて,これを2重結紮切断後,還納すれば良い程度の症例もあつたが,かかる症例はここでは問題としない.癒着に対する操作のあとで,普通に行なわれる根治手術を行なつたのでは,還納腸管に都合の悪い再癒着が起こつたり,ヘルニアが再発する危険のあるために,これらの術後事故を防止する目的で,根治手術に多少の困難な形成的操作を加えなければならなかつた症例は,しかし,比較的少なく,13例に過ぎなかつた.すべて10年以上鼠径ヘルニアに罹患している30歳以上の成人であつた.女子には1例もなく,罹患患者の7例は老人の再発性ヘルニアで,うち5例は2回目であつたが,2例は3回ならびに4回目の手術で脱腸帯を歩行時疼痛のために着けることができないので,止むを得ず手術を受けた症例であつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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