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文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻1号

1967年01月発行

文献概要

特集 鼠径・陰嚢ヘルニアの問題点

ヘルニア術後創の化膿した場合の処置はどうすべきか

著者: 前田友助1

所属機関: 1前田外科病院

ページ範囲:P.28 - P.31

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はじめに
 ヘルニア(鼠径,陰嚢ともに)の化膿は以前にははなはだ稀というほどではなく,時々見かけたことがあつたが,近年はほとんどこれを見ることはなくなり,少なくも私自身ここ10年以上ほとんどこれを見たことがない.
 ヘルニアが化膿するとその跡始末には実に困るものであるが,幸いに近年これが著しく少なくなつたのは何よりもペニシリンなどの抗生物質が広く使用されるに到つたことが最大の原因であると思う.今日,手術場で使用の器械や材料を十分に消毒し,術後に適当量の抗生物質を用いたならばヘルニア手術創の化膿はほとんど起こりえないもののように考えられる.ただ,手術後に血腫が形成され,それが瘻孔状となつて化膿菌が侵入して化膿することなどは考えられないことはない.これらの点で手術後少なくも1週間は患者に安静を守らせることは必要で,私は一部に行なわれているように手術後3,4日目から起立歩行させ,あるいは僅か3,4日の入院で退院させることなどは避けるべきものと信じている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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