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文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻1号

1967年01月発行

文献概要

特集 鼠径・陰嚢ヘルニアの問題点

術後の睾丸萎縮の予防はどうすべきか

著者: 志村秀彦1

所属機関: 1九州大学医学部第1外科教室

ページ範囲:P.32 - P.35

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はじめに
 鼠径ヘルニアの術後合併症として出血(陰嚢血腫),陰嚢水腫,創感染,術後再発,呼吸器合併症(肺炎,気管支炎,肺栓塞),睾丸萎縮などが挙げられている.術後の睾丸萎縮は,以前は重視された合併症の1つであるが,最近では稀な合併症とされKiesewetterは,243例の手術例中4例,Welchは840例中4例に軽度の萎縮を認めたにすぎない.またSwensonは506例の小児ヘルニアの手術例中,術後合併症としての睾丸萎縮を見ず,Grossも1940年以来の3874例の手術例で,1例も経験していないと報告している.われわれも現在まで手術例の遠隔調査で,軽い睾丸萎縮を起した1例を経験しているにすぎない.しかし嵌頓ヘルニア,炎症性ヘルニア,再発性ヘルニア,巨大ヘルニアなど局所の病変が強く,手術操作が困難なものでは精索の血管損傷を起こしやすく,術後睾丸萎縮をきたす危険も大である,筆者は本問題についてその原因,および予防法について概説したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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