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文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻1号

1967年01月発行

文献概要

論説

肝部下大静脈閉塞症13例の検討

著者: 小倉正久1 阿部秀一1 市原荘六1 本田善九郎1 室井竜夫1 野村満1 杉浦光雄1

所属機関: 1東京大学医学部大2外科教室

ページ範囲:P.74 - P.82

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はじめに
 Budd-Chiari症状群と文献上記載されている疾患群は,原発性肝静脈内膜炎または炎症性,肝硬変性,肝腫瘍性の肝変化による2次的肝静脈血栓閉塞症であつて,閉塞部位は肝静脈の下大静脈開口部,または肝静脈枝であり1)2),症状は急激に発症経過し,早期に死亡するものが多いとされている.一方,本邦のBudd-Chiari症状群と報告されているものは,164例中,下大静脈閉塞を伴う慢性例が89%を占めており,成書記載のBudd-Chiari症状群とは明らかに異なる経過をとる疾患であると思われる.
 また,血管撮影法,カテーテル検査法の進歩普及に伴い,下腿静脈瘤,胸背部静脈怒張,肝脾腫を有するこれらの患者に接する機会が増加し3),これらを詳細に検討すると,肝部下大静脈に閉塞がみとめられ,肝静脈にも同時に流出路障害がある一群の疾患群であることが経験されるようになり,これはBudd-Chiari症状群とは異なつて,むしろ原発性の肝部下大静脈閉塞症と名付ける独立した疾患と考えたほうが妥当であると考えられるようになつた.本症の成因に関しては,いまだ不明の点がなくないが,木村教授4)は先天性と考え,Ductus Arantiusの閉塞機転と関係があると想像している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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