icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻10号

1967年10月発行

特集 イレウスの治療—その困難な問題点

救急手術を回避しようとする場合どうするか

著者: 山本俊介1 伊東敬之1 岡林義弘1

所属機関: 1三重県立大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1380 - P.1383

文献概要

はじめに
 最近のイレウス治療成積は,診断,抗生剤の進歩,麻酔の発達,術前,術後の患者管理の向上などにより,いちじるしい進歩をとげている.しかしながらイレウスの診断なかでもその型の判定については古来幾多の報告があるが今だ一定するものはなくその都度当面の外科医の判断により手術,あるいは保存的療法を選ぶ場合が多い.
 表題のいかにして救急手術を回避し得るかということは換言すればいかに手術を避け得る症例を選ぶかの一言につきる.イレウスをその病態生理の面より放置せる場合はまず腸壁血管の変化→細菌ならびに毒物の腸壁透過→腹腹炎,中毒→蠕動亢進,麻痺→腸管拡張,筋伸張→腸壁の静脈管塞閉→局所性血行停止→壊死と悪循環をくり返し,ついには死の転機をとる.たとえば単なる単純性イレウスで圧迫型,屈折型の場合においても同様放置すれば患者は重篤な結果になる.またすでに複雑性イレウスでしだいに腸管壁死に陥入りつつあるか,あるいは壊死がすでに成立しているような場合,これを回避しようとする試みはいたずらに患者の一般状態の悪化を促進せしめるのみであり無駄より有害な試みとなるであろう.すでに腹膜症状を呈している場合も同様である.四方はイレウスの簡易診断法としてIleus Indexをあげ1つの判定基準として取つた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら