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文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻10号

1967年10月発行

特集 イレウスの治療—その困難な問題点

結腸癌によるイレウスの治療はどうるか

著者: 堺哲郎1

所属機関: 1新潟大学外科学教室第1講座

ページ範囲:P.1393 - P.1395

文献概要

Ⅰ.結腸癌によるイレウスの臨床2・3例
 結腸癌によつてイレウスを呈することはそう稀ではない.20%前後と思われるが,右側結腸の内容は左側結腸のそれに比べて,まだ硬くなく水性であるので,右側結腸癌の場合はむしろ亜急性または慢性型をとる.これに反し,左側結腸,特にS状結腸の場合は,"Ligaturkrebs"といわれる位に環状狭窄型をとる場合が多く,加えて内容は水分が吸収されてしまい硬くなつているので,急性型のイレウスを呈することが多い.
 また,癌組織増殖によつて腸管内腔が完全に閉塞してイレウスをおこす場合(付図a)の他に,比較的の閉塞であるのに,その上部腸管に糞塊がつまつてイレウスを呈する(付図b)場合もある.まれではあるが,移動性に富むS状結腸では腸重積症を呈することがある(付図c).1例これを私どもは経験している.こういうイレウス症状に加えて,原発癌組織が壊死におちいつて穿孔する場合(付図d),閉塞上部腸管が強く拡張し内圧亢進に抗しかねて穿孔する場合(付図e),盲腸壁の穿孔(付図f),また虫垂炎様症状を呈する場合(付図g),もあることは知つておく必要がある.しかし,こういう腹膜炎の合併症は比較的徐々に進行し,silentに経過するため診断が確立されず,予後は一般によくない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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