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文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻11号

1967年11月発行

特集 肝腫瘍外科の課題

小児の肝腫瘍

著者: 葛西森夫1 渡辺至1

所属機関: 1東北大学医学部第二外科

ページ範囲:P.1569 - P.1573

文献概要

Ⅰ.小児の肝腫瘍
 乳幼児,学童を含めて15歳以下の小児の肝には,良性・悪性,上皮性・間葉性,種々の腫瘍が原発し得るが,そのうち最も多く,またその大部分を占めるものは肝細胞癌である.本邦では成人の肝癌が多いことは周知のことであるが,小児の肝癌も多く,神経芽腫,ウイルス腫に次いで,小児腫瘍の中で重要な位置を占めている1)2).小児の肝に腫瘤が触れた時には,まづ第一に肝癌を想起しなければならない.
 最近Ishakら3)は小児の肝細胞癌を組織学的に大きく二つの型に分けた.一つは比較的高齢児の男子に多く発症してくる肝細胞癌で,成人の肝癌と同様な組織像を呈し,hepatocarcinomaと呼ばれ悪性度も高い.他はいわゆる胎児性肝癌(肝細胞芽腫)hepatoblastomaであり,前者と異なり,比較的異型性に乏しい小型腫瘍細胞群からなり,切除予後も比較的良好の腫瘍で,満1歳をピークとして発症する.小児肝癌の60%以上が3歳以下に発症し,これらは成人肝癌に較べて切除予後が著しく良好である,と最近報告されてきているが1)4)5),その大部分はhepatoblastomaであると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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