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文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻11号

1967年11月発行

特集 肝腫瘍外科の課題

肝切除後の患者管理,再生肝の代謝

著者: 玉熊正悦1 小泉澄彦1 大野博通1 菅原克彦1

所属機関: 1東京大学医学部石川外科

ページ範囲:P.1575 - P.1582

文献概要

はじめに
 肝臓は生体の諸々の代謝を直接にになう重要臓器である.糖質をグリコーゲンとして貯蔵し,必要に応じてブドウ糖に分解し,血中に送り出して血糖を維持し,アルブミンや血液凝固因子など生命に不可欠な蛋白合成の責任を負うことはもとより,脂質,核酸,ビタミン,ビリルビン代謝,解毒作用など,これまでに知られている範囲でも250を越える生体固有の代謝パターンが報告されている1).最近の麻酔,輸液,化学療法など,一般外科領域における進歩のおかげで,このような重要臓器に対してもその腫瘍性病変などに対し広範切除術が可能となつた.
 しかし後に詳しくのべるように,手術侵襲による一過性の肝機能低下のもとで,肝切除後に残された肝——右広汎切除後にはわずかに20%2)の残存肝で代謝のバランスを維持し,回復していくためには,肝本来のVital Functionを十分理解した上で,きめこまかい術前術後管理が不可欠である3).Schwarz4)によれば,一般に肝腫瘍のため切除術の対象となる症例の約25%では,腫瘍の大きさ,解剖学的位置,肝硬変の合併などによつて,術前からすでに肝機能,循環血液量,血清蛋白分画,血液凝固因子,などに異常がみとめられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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