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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科22巻12号

1967年12月発行

雑誌目次

特集 鞭打ち損傷の問題点

いわゆる鞭打ち損傷の発生機序ならびに損傷機転

著者: 池田亀夫 ,   小林利昭

ページ範囲:P.1655 - P.1659

はじめに
 交通災害は近年急激に増加の一途をたどつており,なかんずくいわゆる鞭打ち損傷は飛躍的に増加し,大きくクローズアップされてきた.いわゆる鞭打ち損傷の症状は多彩を極め,その正確な病態把握はしばしば困難であり,ために後遺症などいろいろな複雑な社会問題を惹起している.この発生機序および損傷機転を把握することは病態の解明,適正な治療法の確立に必須の重要事であり,焦眉の急を要する課題である.鞭打ち損傷の発生機序および損傷機転を知ることは臨床上容易なことではなく,不可能に近いが,動物実験による結果は,問題の解明にある程度の資料を与えてくれるものである.
 発生機序を解明しようとする試みは,かなり古くから行なわれているが,それらは欧米,本邦ともに実験的に動物あるいはdummy,を使つてのものか,臨床的にその損傷型式から,逆に損傷機序を論じようとする方法の3通りのものである.

鞭打ち損傷の症状と診断

著者: 鈴木次郎

ページ範囲:P.1661 - P.1670

はじめに
 いわゆる「鞭打ち損傷」という用語の当否は別として,このような用語で呼ばれるものは,突然,躯幹の前後,左右,あるいは,斜方に急激に加わつた衝撃により,重い頭を支えている頸部に招来された強制的な屈曲,伸展の振子運動,圧迫,牽引,捻転などの複雑な力学的,あるいは生体の反射的作用の複合によつて,頸部を構成する諸組織が損傷された結果生ずる一連の症候群を総称するものと考える.したがつて,この症候群は,頸部を構成する頸椎,椎間板,筋,靱帯,関節,関節包,脊髄,脊髄神経根,交感神経,動静脈等のおのおのが単独にあるいは,合併して損傷されることによつて,またその部位,程度のいかんによつて発症する症状によつて,成り立つているものである.諸家の動物実験の結果,いわゆる「鞭打ち損傷」なるものの主な変化所見として,頸背部筋肉の出血,各靱帯の断裂,関節包の弛緩,断裂,出血,後縦靱帯の剥離,前縦靱帯の弛緩断裂,出血,浮腫,椎間板の損傷,変性,髄核の突脱,椎体骨膜部出血,硬膜外出血,神経根周囲出血,神経根内出血,脊髄膜出血,脊髄の浮腫,変性などが挙げられているが,これらの実験的所見が,人体に直ちに該当するとは限らないけれども,多かれ少なかれ上記のごとき変化が複合し存在し得るものと考えられるから,おそらくかかる各変化に基づく症状が症候群を構成する基盤となることは想像される.

いわゆる鞭打ち傷害—特に急性期,亜急性期の治療

著者: 伊丹康人 ,   三好邦達 ,   片山国昭

ページ範囲:P.1671 - P.1675

はじめに
 いわゆる鞭打ち傷害の大部分は,motoristのaccelerationないしdeceleration traumaであつて自動車乗車中のものが,追突または衝突,あるいは急停車などにより,重い頭部に加わつた慣性により,可橈性のある頸部に,介達力がはたらいておきた傷害であることには,誰も異論はないところであろうが,そのときにおこるであろう頸部の損傷は,項筋,前後縦靱帯,棘上棘間靱帯,椎間板,関節包,筋付着部付近での損傷と同部の出血,神経根,とくにC1/C2,Occ/C1,間,C5/C6,C6/C7,C4C5間での頸髄神経根ならびにその周辺の傷害と,それにともなう出血,浮腫などによる循環障害,脊髄や交感神経系の損傷,脳震盪,脳幹部損傷等いろいろな損傷がおこる可能性が考えられる.さらにまたこの傷害は,車の重量,速度,方向その他の追突時の状況,事故寸前の頸部姿勢などに左右されるので,case by caseでまことに多種多様な症状を示してくる.
 したがつて,本傷害の治療は,まことに厄介であるともいえるが,症状により,大体主な損傷部位を想定することができるので,その症状に応じた治療法を行なうわけである.しかし,そこに問題があることは,どこまでを急性期,亜急性期とし,どこまでを陳旧慢性期とするかということである.

鞭打ち損傷—特に慢性期の治療

著者: 津山直一 ,   林浩一郎 ,   竹広舜 ,   都築暢之

ページ範囲:P.1677 - P.1681

はじめに
 鞭打ち損傷の慢性期の治療を検討するにはまず,この損傷の慢性期とはどういう内容のものであるかを分析することから始める必要がある.結核の慢性期などとちがつて,鞭打ち損傷の慢性期をどう考え定義するかはむずかしい.慢性期という表現が妥当かどうかということも問題であるが,それはこの場合おくとして,ここでは主に受傷後3ヵ月以上もたつて相変わらず同じような愁訴を訴えて医師を悩ます,いわゆる難治症例の治療を中心として考えてみたい.そこで難治症例とはどういう症例で何故に難治なのかがまず問題となろう.
 われわれが約400例の患者から154名を抽出し調べたところ,受傷後6ヵ月以上たつてなお頑固な症状を訴える患者はこのうち53例であつた.これを詳細に検討した結果では,次のごとく3つの項目に分類して考えていくことが妥当だと思われる.

鞭打ち損傷—耳科の立場から

著者: 檜学

ページ範囲:P.1683 - P.1690

はじめに
 頸椎は重量の大きい頭蓋をその尖端に乗せている.しかもHawkinsの指摘しているように,第1,第2頸椎等の上位頸椎は,その他の頸椎に比し可動性が大きい.このことは上位頸椎が外力に対して受傷性が高いことを意味している(Haw-kins,1962).このような事柄を考慮に入れると,いわゆる鞭打ち損傷の機転で急激に頭部が過伸展,過屈曲すると,上位頸椎を支持する軟部組織には,機能的または器質的障害が起こることは想像に難くない.そしてその障害に由来して,頸部痛等各種の愁訴が出現することも納得がいく.
 さて私が,耳科の立場から鞭打ち損傷における「めまい」,平衡失調を特にとり上げる理由をまず述べてみたい.その理由のひとつは,この種症例の「めまい」については,これまでにも記載はなされている.しかし,いかなる特徴を有する「めまい」が存し,それを裏付ける平衡失調はいかなるものであるかを系統的に記載したものは少ない.研究者によつては,この機転で起こる頸部交感神経系の異常を重視し,これに由来して「めまい」が生ずると考えている(Hawkins 1962).ただし彼はその「めまい」の性格については,それ以上深くふれていない.耳科領域では頸部障害の「めまい」を内耳にむすびつけて考える研究者が多いが,鞭打ち損傷例を取扱つてみて,その「めまい」を単純に内耳性と考えるには,あまりにも複雑であることに気付く.

鞭打ち損傷—脳神経外科の立場から

著者: 大野恒男

ページ範囲:P.1691 - P.1698

はじめに
 鞭打ち損傷という語が使用されるようになつて久しいが,あまりに一般的になり過ぎて,一般外科医が,墜落・転倒外傷などのさいの頸椎捻挫や挫傷にまで「鞭打ち症」と診断名をつけているのをみる.これははなはだ大きな混乱を生むものとなり,ある外傷で頸部に痛みがあるとそれは,かの恐しい「鞭打ち症」という病気になるかも知れないというわけで,多くの世人をいたずらに恐怖にからせるもとともなつているようである.
 鞭打ち損傷の定義や受傷機転については,別に適当な担当者があるようなので詳しくはふれないが,簡単にR.Cailliet2)の図を借りて説明しておく.第1,2図のようにwhiplash injuryというのは,自動車での追突または衝突事故のさい,頭部が慣性によつて躯幹に対して相対的に急激に動くことによる頸椎の前・後屈損傷に限つて使用されねばならない.

いわゆる鞭打ち損傷と神経症について

著者: 太田幸雄

ページ範囲:P.1699 - P.1702

はじめに
 いわゆる鞭打ち損傷においても,あらゆる災害による障害と同じく,神経症の問題がからんでいるようである.そして,わたくしの知る範囲では,鞭打ち損傷についての綜説はたいていこのことにふれている.(たとえばCailliet2),Jackson10)半田など7).したがつて,ここでは精神医学の立場から鞭打ち損傷と神経症の問題を取り扱つてみたい.
 さて,災害の後遺症と神経症との問題を考えるときには,次の2つの立場からみる必要がある.

鞭打ち損傷の障害認定

著者: 小菅真一 ,   小川靖夫 ,   岡田守功

ページ範囲:P.1703 - P.1707

はじめに
 最近,わが国におけるに自動車の急速な普及と運転未熱者の増加,交通の混雑化に伴つて交通傷害は日毎に増加し,目にあまるものがある.
 なかでも追突事故によるいわゆる鞭打ち症(Whiplash injury)はこの一両年に急激な増加をみ,さらに本症は特に業務上災害,あるいは自賠法と関連し,社会問題を引きおこしつつあり,一方京都において端を発した「むちうち病対策協議会」は,その後愛知におよび,さらに他府県に拡大しつつあり,本症の治療と障害補償の問題は大きくジャーナリストに取りあげられ一大社会問題となりつつある.

グラフ

新生児外科におけるX線診断—特に先天性小腸閉塞について

著者: 山内逸郎

ページ範囲:P.1641 - P.1646

 最近における新生児外科とくに新生児消化管外科の進歩にはめざましいものがある.鎖肛,Hisch-Sprung氏病あるいは,食道閉鎖兼気管食道瘻などの手術成績の向上はいちじるしい.しかし先天性小腸閉塞の治療成績は必ずしもそうとはかぎらない.今後この分野での治療成績の向上のためには,正確な早期診断がまず第一に考えられなくてはならない.それには腹部単純撮影像の読影に習熟することが必要である.われわれはこれまでに30例を越す先天性小腸閉塞を経験しているが,これらの症例のX線写真のうち興味味あるものを紹介しつつ腹部単純撮影像読影について先天性小腸閉塞を中心にのべてみたい.

外科の焦点

不整脈の外科的治療

著者: 岩喬 ,   和田寿郎

ページ範囲:P.1647 - P.1654

はじめに
 不整脈に対して,従来,薬剤による内科的治療の長い歴史があるが,最近,メディカルエレクトロニクスの導入につれて,電流により,諸種の不整脈の治療が行なわれるようになり,その面目を一新するにいたつた.これには,大別して,刺激生成異常に対する直流通電法と,刺激伝導障害に対する電気刺激法の2種がある.その臨床応用例は,欧米においては膨大な数にのぼつており,たとえば,直流除細動は米国内で10万回以上(Lown,1966),Medtronicペースメーカーだけで1万例以上(Chardack,1966)といわれるが,わが国の経験,報告は,まことに微々たるものである.
 この異なつた両方法を,一応,「不整脈の外科的治療」と一括して,著者らの経験,最近の問題点をあげて,参考に資すると共に,わが国におけるこの両方法の普及を期待するものである.

論説

胃切除後の骨病変

著者: 堺哲郎 ,   番場道夫 ,   庭山昌明

ページ範囲:P.1711 - P.1720

はじめに
 最近,胃切除後にあらわれる骨軟化症,Osteo-malacia(以下,Om.と略)が注目されてきている.
 胃切除後骨軟化症Postgastrectomy Osteomalacia(以下,Post G.Om.と略)は1941年,Sarasinの報告をもつて嚆矢とするが,1959年まではわずか数例の症例報告をみるに過ぎない(Pyrah-Smith,1956,Baird-Olesky,1957,Melick-Benson1959).ところが1960年以降英,仏,豪などで胃切除後長期経過例を対象にOm.の系統的検索を行なうにつれ,本症が決してまれな合併症でないことが明らかになつてきた.Thompsonら(1966)はヨーロッパにおけるOm.の原因の第1位は胃切除であるとまで述べている.

破傷風の予防接種と予防治療についての諸問題

著者: 桜井信夫 ,   丹羽章 ,   新納光麿 ,   窪谷勝 ,   植松典昭 ,   永井吉郎 ,   越後貫博 ,   高山直秀 ,   藤塚光慶 ,   星野聡 ,   堀川義文 ,   鳥居敏明 ,   千葉弥幸 ,   藤代国夫 ,   橋詰定明 ,   鈴木祥司 ,   古川玄正

ページ範囲:P.1721 - P.1730

 医師は外傷患者を治療するさい,常にその患者が破傷風になるかもしれないという危険にさらされている.破傷風患者の発生は少ないかもしれない.しかし,厚生省の統計に現われた数字よりはるかに多いのは事実である.しかも,その統計のジフテリア,百日咳と比較してみよ.桁はずれの致死率を示す破傷風なのである.毎年数百名の生命がむなしく失なわれてゆく.前記の2疾患の患者数に比較して,破傷風の患者数が一桁少ないのは事実であり,その死者数がこれらの疾患よりも一桁多い事もまた事実なのである.それにもかかわらず,破傷風の発生は少ない,まして人から人へ感染するものではないからこの予防は個人衛生に属するとして,衛生行政の対象にならぬというのでは,個人の生命を尊重する政治理念が全く欠除しているといわねばなるまい.破傷風予防接種の法制化を求める声も最近では怒りを含んだものとなつてきている."破傷風患者がでるたびにその治療に手をやかされているのは日本の外科医である.厚生省当局者の破傷風予防接種計画除外の尻拭いを日本の外科医がさせられている"1)と.
 破傷風は予防すべき疾病であり,最初から治療の対象として考慮しておく疾病ではない.

患者と私

治療の第一歩

著者: 田村春雄

ページ範囲:P.1732 - P.1733

 大阪府の福祉センターには付病属院,機能訓練部門,授産部門,義肢装具製作部門,更生相談機関がある.そのような関係から,付属病院や相談所へは多くの障害者や,肢体不自由児をつれた親が治療のことや教育についての相談,適職の相談,義肢装具の相談など病気や障害を中心としたあらゆる問題をもちこんでくる.

海外だより

ウイーンとバルセロナの学会から

著者: 三島好雄

ページ範囲:P.1734 - P.1736

今年は9月にWienで第22回国際外科学会が,Barcelonaで第6回国際脈管学会が開催され,筆者もこの両学会に出席するチャンスをえた.ここに思いつくままに印象記を述べてみたい.

学会印象記

第29回臨床外科医学会

著者: 村田勇

ページ範囲:P.1738 - P.1739

第29回日本臨床外科医学会総会(会長鬼束惇哉)は,10月11,1213日,岐阜市民会館を中心に行なわれた.この学会は,臨床研究を主体とした集りでその点,動物実験や,学位論文の寄せ集めの他の学会と違って特異な存在の一つでもある.すなわち臨床外科医や,大学の教授,研究員等で一堂に会して渾然一体となつて臨床医学に研讃する姿は,まことに微笑ましい.

外国文献

Carbenicillin,他

ページ範囲:P.1742 - P.1745

 Disoidiumα-carboxybenzylpenicillinで半合成の新ペニシリン.Gram陽陰の細菌に広域の作用をもつが,とくにPseudomonas aeruginosa (pyocyanea)に奏効する.Knudsen(Brit.M.J.3:75,1967)は本剤が各種の菌にきわめて広域に有効なこと,ampicillin抵抗のproteus簇にも奏効すること,毒性のきわめて乏しいこと,Ps.pyocyaneaにbactericidalで50μg/mlの濃度で1時間後に全くこれを殺滅すること等をたしかめている.本剤は血清蛋白には結合しない.経口投与では吸収されないから,筋注,静注で血清濃度を高くするのがよい.排泄は尿から.Jones(Bait.M.J.3:79,1967)はPs.pyoc,に対する本剤とgentamycinとを比較し,ともに熱傷マウスPsの感染を防ぎうるとしている.9例の熱傷患者の23熱傷のうち10個は本剤でPsを証明しえなくなつたが,他剤ではPs消滅が有意に低い.その患者の血清最高濃度は48〜64μg/mlで,これはinvitroの最低抑制濃度に等しい.in vitroで本剤に抵抗性のPsはコロニイの形態が変り,マウスに毒性を失つていた.gentamycinにも同様のことがみとめられる.

手術手技

慢性硬膜下血腫の手術

著者: 永井肇

ページ範囲:P.1756 - P.1762

はじめに
 頭部外傷の増加と共に,最近では第一線病院で頭蓋内血腫に対する緊急手術が行なわれる機会が増加した.急性硬膜上血腫症例では,寸刻を争つて血腫除去が行なわれねばならないし,また慢性硬膜下血腫症例でも,突然pressure coneを起こしたようなときには,緊急に開頭手術を行なう必要がある.このような場合,救急病院に脳神経外科専門医が常時配置されていることが最も望ましい姿であるが,現状は一般外科医がなんとかして危機を脱するように処置せざるを得ない場合が多い.そこで本文では,このような場合を想定して,手術準備・麻酔・手術器具について簡単に紹介し,脳神経外科手術に特異的である止血法を中心にして,開頭術の大要について図説し,最後に術後の管理について簡単に述べることにする.もちろん手術手技以前の問題として,診断手技について十分な知識が必要であることはいうまでもないが,これらに関しては本文では一切省略する.

講座 リハビリテーションの基礎知識・3

片麻痺のリハビリテーション

著者: 吉田一郎

ページ範囲:P.1763 - P.1768

はじめに
 片麻痺は脳卒中の後遺症として由来知られていたが,最近交通災害の増加,とくに頭部外傷の激増によつて,これに起因する片麻痺患者が大きな問題となつている.当然この頭部外傷に対する各種の治療とならんで,この面に対するリハビリテーションの充実が,社会的に大きな要求となりつつある現在である.
 この片麻痺に対するリハビリテーションにおいては,四肢骨折あるいは脊髄損傷などに起因する対麻痺のそれと異なり,言語障害,智的障害あるいは心理的変化などを伴う場合もすくなくなく,さらに複雑な社会的背景を有する場合も往々認められ,したがつてこのリハビリテーションの遂行にあたつては,問題点が数多く,限られた紙面にその全貌をのべることは,不可能であり,ここでは,片麻痺に対する運動機能訓練を中心に述べるしだいである.

症例

兄弟にみられたOsteopoikilieの症例

著者: 小泉正夫 ,   芦沢哲也

ページ範囲:P.1769 - P.1774

はじめに
 1915年にAlbers Schönbergによつてはじめて発見され,まれなる骨の構造異常と題して報告されたが,1916年にはLedoux, Lehard, ChabaneixおよびDesseneらが,同一症例をそれぞれ報告して,ここにOsteopoikilieと命名された.
 わが国では,1935年に松尾,永井によりはじめて,その1例が報告され,その後約8例程報ぜられているが,われわれが,渉猟しえた範囲では,兄弟に発生したものは,本邦ではほとんど認められない.

耕耘機による外傷より発生したガス壊疽症3例

著者: 若菜一郎 ,   日比成夫 ,   小崎寿美男 ,   井戸政博

ページ範囲:P.1775 - P.1777

はじめに
 ガス壊疽は主に戦傷に伴つて生ずる創傷感染症であり,一般に平時には少ないといわれているが,最近交通事故の激増あるいは農業の機械化に伴つて生ずる報告例がしばしばみられる.われわれは最近耕耘機による外傷より発生したガス壊疽3例を経験したので報告する.

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「臨床外科」第22巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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